仕方がなかった。
3人がけシルバーシートの席の前に左から私、その50半ばのおじさん、
少し若いおにいちゃんが立っていました。
若いおにいちゃんはつり革にぶら下がるようにしてゆらゆらゆれてました。
私は、アレサ・フランクリンの若かりし頃のベストアルバムを聴きながら、
あ〜、今日も疲れたな〜。
と、ぼけ〜っと立っていました。
あ〜腹も減ったな〜。
と、ふと右目の端っこで隣に立つおじさんの気になる動作をキャッチ。
おじさんはつり革にはつかまらず、左手に持った雑誌を読みながら
右手でなにやら口に放り込んでいる。
ん?飴でも入れたかな?
すると、2分置きくらいに右手のひらから口に放り込む動作が繰り返される。
な、な、なんだ?
右目のふちではよく確認できないので、思い切ってそちらに向くと・・・・・
おじさんは上着のポケットから小さい丸いものを口に放り込んでいた。
そして、ほのかに香る、ちょっと懐かしいにおい。
おじさんは、渋谷で下車し、私はおじさんの立っていたあたりの床に
ふと目をやりました。
そこには、手のひらから口に放り込むのに失敗したらしい、
オレンジ色のマーブルチョコが1粒・・・・。
マーブルチョコだったとはちょっとびっくり。

